2010年9月2日木曜日

織田作之助を読んだりしています。

「夫婦善哉」が話題になった戦中・戦後に活発な活動をした作家の本を読みました。小説の世界観
や登場人物の感性、都市空間のヨドミがいまの時代と少しも変わらないのに驚かされました。文字による描写のせいかも知れません。
今年は戦後65年、成長し続けてきた日本の経済の中で、暮らしは格段に便利になり、生活レベルは上がったはずです。都市はおしゃれにセンスアップし国際感にあふれているのに、なぜ半世紀も前の小説の世界に古さも感じないし、新鮮に共感できるのでしょう。
もしかしたら、私たち日本人は、日本の文化や日本人の生活様式をどこかに忘れてきてしまったのか、あるいはここ20年余りの景気の後退の中で50年前の人々の感性や生活がいきなり私の中にフィードバックされたのでしょうか。いずれにしても氏の小説の中にある個人主義・厭世観・そして
小さな幸福感といったものに感動させられました。
私たちのモノ創りは決して芸術ではないけれど、生活に密着する多くの価値を商品化ことをテーマにしています。そこには人間そのものの存在意義や可能性、日本人だから持ちえる価値観や様式
に応えるものがあってほしいと思いました。
行き過ぎた功利主義や、閉塞感が生んだ成果主義に追われてきた日本の65年がもしかしたらちょっと違っていたのかなとも感じます。貧しい生活の中にあっても、暗く臭い路地裏の住まいの中にあっても必ずしも不幸とは限りませんものね。

写真は江戸川橋で見つけたかわいい商店街

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